炭素繊維の普及

炭素繊維とは

繊維には色々な種類があるが、その1つに炭素繊維と呼ばれるものがある。
炭素繊維というのは、ほとんどが炭素だけで出来ている繊維のことである。
衣料の原料といえば、アクリル樹脂や石油・石炭などが一般的である。

そういった上記のものを繊維化することで、特殊な熱処理工程を経て作られる。
その結果、微細な黒鉛結晶構造をもつ繊維状の炭素物質となるのが炭素繊維だ。
日本では1970の年代初期からPAN系とピッチ系が本格的にスタートした。

1980年代後期には異方性のピッチ系炭素繊維が加わり技術を改良し事業を拡大し現在にまで至っています。
現在では品質も生産量も日本が世界一の実績を誇っているような状態になっている。

炭素繊維の作り方

炭素繊維はまず、石油を精製することによって、アクリロニトリルを紡糸する。
そのアクリル繊維を焼成することによって炭化するので、そうして炭素繊維にしていくという方法となっている。

アクリル繊維を焼成する際には、1000℃以上というかなりの高温での焼成となる。
そのため炭素繊維を作るときには炭素繊維1トンに対して20トンのCO2が排出されるとも言われている。

だが、焼成する場合には、最初は酸素がある状態で200℃~300℃で加熱酸化処理をするというのが一般的だ。
この段階を経て酸素のない状態で1000℃~2000℃の温度で焼き、その後に2000℃~3000℃というように焼成していくことで水素や窒素を飛ばしていくのだ。

地球温暖化に効果的

炭素繊維は、地球温暖化に大きな影響を与えると考えられている。
炭素繊維は、作る時に加熱することによってCO2が排出されるため地球温暖化に良い影響を与えるイメージはないかもしれない。

しかし、炭素繊維を使用することによって車の車体構造を軽量化することが可能となるのだ。
たとえば、炭素繊維を使用することで車を30%軽量化した場合炭素繊維1トンあたりに対して50トンものCO2を削減することができる。

航空機の場合は機体構造を20%軽量化できれば1400トンものCO2を削減するということが可能になる。
そのため炭素繊維を作る際にCO2が出ていたとしても、結果的にCO2の排出量を減らすということが可能となるのである。

CO2削減の切り札となる!

日本の乗用や旅客機に炭素繊維が採用されれば、多くの車や旅客機の軽量化が可能となれば燃費の向上になる。
例えば日本の乗用車4200万台とりょかっき430機の軽量化が可能となった場合CO2を2200万トンは削減することが可能になる。

2006年度の日本国内のCO2の排出量は13億トンなのでそれの1.5%程度の削減にもつながっていく。
1.5%と聞くとあまり高い数字には感じないかもしれない。

しかし実際にはかなりのCO2を削減することができるので、CO2の排出を減らそうという意識が高まっている現在においては炭素繊維は切り札の1つとなると言えよう。