EVの売り上げが鈍化?
次世代の乗り物としてもてはやされたEV(電気自動車)だが、このところその動きが変わってきたようだ。
アメリカでの販売台数が急減し、EVからHVへチェンジする動きが目立つようになったというのである。
これまで日本のメーカーはEV開発に遅れをとってきたため、日本の自動車産業は今後衰退するのではないか、という懸念が各界から表明されていたのだが、EV熱が冷めつつあることから、この懸念も払拭されるほどの動きが見られるようになった。
これまでEVといえばテスラが世界経済を牽引していたが、中国市場でのEV開発が急増し、テスラを猛迫する勢いだった。
ところが、中国市場も市場経済が減速し、世界的にHVへ流れる傾向が強まったため、先行きが不透明になりつつある。
具体的な数値を見てみよう。
アメリカにおける2023年上半期の売り上げにおいて、HV生産がEVを追い抜くという事態が発生している。
しかもこの差はどんどん開くようになっており、トヨタに加えて、ホンダもそれに追随する形で販売量が急増しているのだ。
背景にあるのがEVの価格設定で、EVとHVそれぞれを比較してみると、HVの方が10000ドルも割安だと言われる。
円安が続いているが、円換算で150万円近くもの価格差になるということだ。
もう一つはインフラの不足である。
EVには充電スタンドが必要になるが、そのインフラが追いつかず、従来のガソリンスタンドの方が便利で利用しやすいことを消費者が知っているのだ。
結局充電スタンドがなければEVはただの文鎮になってしまうというのである。
あとはEVは寒さに弱い、というのも販売台数を減らす要因になっている。
寒冷地ではEVの性能が低下するだけでなく、ボンネットに積もる雪や、凍りついた窓を熱で温めて溶かすということができないのだ。
こうしたことが背景にあり、EVが急激に減少しているのである。
燃費のいいハイブリッド車が見直される
EVは元々脱炭素社会に向けた人類の取り組みの一環でもあったのだが、世界的にその動きが見直されるようになっている。
ヨーロッパでも、これまではガソリン車全廃を掲げて大規模な規制を行う姿勢を見せていたのだが、EVを普及させることは電力消費を上昇させ、化石燃料の使用を増やすことがわかったことが大きな理由だ。
そのため自然環境に優しく、しかも低燃費なHV車の必要性が見直されているのである。
HV車は燃費が良いことに加えて、内部で発電することで電力を発生できることもあり、EVのように電力網にたよる必要がない。
こうしたことも拍車をかけるようになり、世界的なHV車への回帰が始まったのである。
今後もこのような動きは継続すると見込まれているため、完全なEV社会への移行はまだまだ先ということになったのである。