1. >
  2. >
  3. EUの取り組み

EUの取り組み

脱炭素社会と経済成長を目指す

世界気象機関の調査によると、2019年の世界の平均気温は産業革命前よりも1.1℃気温が上がっているという結果が出た。
その背景には、人間の生活の中で排出される温室効果ガスが地球温暖化や海面上昇・氷河の後退といった変化が考えられる。

その結果、世界各地では今までなかった規模の森林火災が起きたり豪雨が発生するなど大きな災害が頻発するような状態になっている。
そういった変化からEUでは2019年から2024年の5年間の間の取り組むべき優先課題を6つ打ち出している。

その1つが欧州グリーンディールであり、EUから温室効果ガスの排出を0にしようというものである。
しかしEUの取り組みは単なる温室効果ガスをなくすというものではなく環境を守った上で経済を維持していくという点に重きを置いている。

欧州気候法

欧州気候法は欧州グリーンディールの根幹をなす重要なものである。
欧州気候法というのは、2050年までの気候中立の達成の拘束力をより強めるための目標として法制化した上で気候中立への移行を不可逆的なものにするためのもので、あらゆる政策分野において対応に向けた枠組みを設定するというものである。

2050年に気候中立な国という目標を達成する上でそれに近づくための具体的な目標として2030年の温室効果ガスの削減目標を1990年比40%と設定していましたが50%を経て55%に引き上げるということが決まったものである。

この目標達成には年間で2600億ユーロを追加で投資する必要があるともいわれている。
2600億ユーロという額は、2018年のEU域内の総生産よりも1.5%をも上回る金額であるために、予算の調達も大きな課題の1つとなっている。

必要な投資と公正な移行

気候中立な経済への移行を達成するためには、かなりの規模の投資を必要としている。
欧州委員会は、10年間の間に欧州投資銀行を主軸とした上で官民合わせて最低でも1兆ユーロの投資の動員を目指すことに決定した。

この投資が可能となれば、投資プロジェクトも持続が可能となる。
気候中立な経済へ移行をすることを達成させるためには、移行によって大きな影響を受ける市民へ手をさしのべることも重要である。

移行によって最も影響を受ける地域の社会経済的変化を軽減させる目的として少なくとも1000億ユーロの支援を提供するなど、具体的な仕組みについても定められている。

将来に向けた具体策

欧州委員会では気候協定を立ち上げ、さまざまな目標実現に向けた政策を予定している。
例えば、2050年の気候中立目標を掲げた欧州気候法の提案・気候変動への適応に関する新しいEU戦略・2030年のEU生物多様性戦略などをはじめとして、時期ごとに色々な政策を行っていく。

また、欧州委員会は欧州議会と欧州理事会に対してEUの将来や経済と環境に対する欧州委員会の目標を承認し、その実現を支援する旨の要請なども行っていく。